喜び笑い、哀しみ怒り泣き、幸せだ憎いだと言い、眠り起き、食べて排泄し、刻々と生きているわたしという動物がある。言い留めようとしない限り、そこに言葉などないのだと、ある日思った。
生きている中に漂うコトとひとつの言葉を結ぶ時、はじめてその言葉と生きているわたしが重なる。その重なりを書き留めたい。その時に、その場所で。
筆を握る力が紙に伝わり乾いた音を立てる。書き終わって忘れていた呼吸をし、目の前に現れた字を見る。
今、生きているコトにすこしだけ触れたのかもしれない。
そうして書き留めて、かすかに気づいたコトがわたしをまた新たな時へ、新たな場所へと運ぶ。
字を書くコトが舟となり、わたしを渡していく
→ 華雪「わたしふね」展示スライドショー
Photo by RYUSUKE SUZUKI (R-room)
「わたしふね」は書家の華雪さんの暮らしで日々書かれ、生きてきた字を「わたし」以外の「わたし」に届ける展示の旅といえます。華雪さんと対話を続けながら様々な土地に「わたし」を渡していくものです。東京、大阪、そして今度は秋田へと「わたし」は幾度も形を変え、しかしながらたったひとつの事実「わたし」という道を繋げていきます。
工藤千愛子 gm projects
会期 | 10月19日 (水) ~ 11月6日 (日) |
営業時間 | 12:00~19:00 (日・祝祭日 / 最終日は18:00まで) |
定休日 | 月・火 |
場所 | project room sasao (秋田県秋田市大町3丁目1-12 川反中央ビル3F) |
問い合わせ先 | TEL 018-866-1559 |
WEB | www.projectsroomsasao.net |
企画協力・華雪著書販売 : まど枠
1975 年京都生まれ。1992 年より個展を中心に活動を続ける。近年の個展には〈わたし〉をテーマとしたシリーズ作品をさまざまな場所との関わりの中で見せる「わたしふね」(09 年〜、東京、大阪、秋田他)、「劇」(10 年、新潟絵屋及び二宮家米蔵、新潟)「跡」(09 年、gallery360 °、東京) などがある。また、〈字を書く〉ことを軸としたワークショップを各地で行う。刊行物に、写真家ホンマタカシ氏ディレクションによるプライベートプレスbetween the books から「ATO 跡」(09年、between the books)、写真集やアートブックを多く手掛ける赤々舎から「書の棲処」(06 年、赤々舎)、京都新聞での連載をまとめた「石の遊び」(03 年、平凡社)、などがある。作家活動の他に、「戦争×文学」(集英社)、「石原慎太郎の文学」(文藝春秋)をは
じめ書籍の題字も手がける。現在東京在住。
www.kasetsu.info
生まれてから今まで数えきれないほど書いてきただろう「わたし」の名前を、「わたし」をよりよくあらわす字の様子を探し、書きます。書いた字は、その場で展示することで、会場には字で書かれたたくさんの自画像が並びます。
日時 : 10月22日 (土) 13:30〜14:30
場所 : project room sasao
定員 : 10名 (要予約制)
対象 : 小学校1年〜大人
持ち物 : 書道道具
材料費 : 2,000円 (紙代500円含)
書の本質とはわたしの今を書き留めることではないかと思います。“わたしの今”を知るために、身近な人あるいは自分自身へ手紙を書くということを入口にし、そこでの気付きを束ねるひとつの字を探し、大きな紙に書き留めます。
日時 : 10月26日 (水) 19:00〜21:00頃まで
場所 : 川反中央ビル内
定員 : 10名 (要予約制)
対象 : 大人
持ち物 : 書道道具
所要時間 : 2時間
材料費 : 2,000円 (紙代800円含)
予約・お問い合わせ先 : ココラボラトリー TEL 018-866-1559